雨の野音。雨のZAZEN BOYS。
開演時間が近付くにつれて雨が強くなっていき、そしてレインコートの集団の前に現れた向井と吉田一郎。「雨のバラードを1曲」とキーボードとベースだけでやってくれて、そのあとカシオマンと松下さんも出てきたんだけど広いステージのセンターに笑っちゃうほどぎゅっと集まって「Idiot Funk」を演奏。そして定位置に戻ると怒濤のような響きの連続。音は確実にカッコ良いのに見ててとても面白い。「Honnoji」でカシオマンスイッチが入るところとか「WEEK END」のみんな揃って顔を客席向けるところとか。手を叩くと掌についた雨がバシバシ顔に当たるけど、それも面白くなってきてより盛り上がる。当方眼鏡着用なのでレンズに雨が付いて、服で何度もレンズを拭いても意味がないことを悟りだしたのはこの頃。
中盤で行われたMATSURIセッション。向井がメンバーに音の設定*1を伝え音を紡いでいく。バスドラの音が異常なほど心臓に響く中、とある瞬間から音が重なりあい曲が流れるようになる。その瞬間に震えるほど感動してしまい「うわぁ」とアホな声を出す始末。そのセッションを随分長いことやってたんだけど、途中からマエストロ向井が指揮を始める。そのマエストロっぷりもセッションの音もカッコ良すぎてどうしようもない。
後半は日が暮れて照明が映えてくる。「KIMOCHI」が好きなのでギターフレーズだけですでに涙ぐむ。そして本編最後の曲あたりでようやく雨がやむ。アンコールの最後にやった「Sabaku」がその日の野音にとても似合いすぎていてまた涙ぐむ。「ゆれている日曜日/すり抜ける人混み/雨上がりの空は黄色い」この歌詞のときに黄色の照明が照らされる。「砂漠のどっか真ん中にいる感じ」まさにこの場所のこと。演奏が終わりカーテンコールのように前に並んでお辞儀をするメンバー。向井がナンバガ時代からお馴染み「乾杯！」と言い残してライブは終わった。空を見上げるとぼんやりと月が見えていた。なんだか凄いものを見てしまった高揚感でしばらく放心状態だった。スニーカーは当たり前のように雨が浸み込みまくっていたけど、それすらも良い思い出として振り返れるくらい圧倒的なライブだった。
*1:吉田：デリデリ(？) 吉兼：サナギが羽化する感じ 松下：床屋に行っていつのまにかアイパーをかけられてたときとは逆の気持ち
