人はなんて言うか知らないけど振り返ったら全て青春ドラマ

桐島、部活やめるってよ」を観た。個人的問題作。登場人物が個々の視点より平行する日常≒青春ドラマ。一瞬しか登場しない桐島に振り回されてるみんな。振り回されてないみんな。自分にはもう戻れない場所。
作品は主人公が前田(神木くん)のような予告編だったけど主人公皆無。全員が主人公。もしくは誰も主人公になろうとしないのか。それぞれに感情移入する部分がある。そして2012年最高のシーン、屋上ゾンビシーンで不覚にも涙。こんな説明のできない涙は初めて。リア充どもに反逆するなんてのは安直すぎる。なんだこの感覚は。想像ゾンビシーンの淡い映像も刹那的な効果でさらに涙。後半に宏樹と前田とのインタビューシーンがあってそこも素晴らしかった。前田のなぜ映画なのかという答えは自分が思っていたことだ。そして宏樹の涙。ラストカットが宏樹だったことからこの映画は強いていえば宏樹が主人公でいいと思うんだけど、彼の唐突な涙にハッとさせられた。なんでもなんとなくできてしまう側の心の動きを知る。そこに一躍かってる野球部先輩の存在。「ドラフトが終わるまでは...」の台詞は微笑しながらも心で泣いてしまった。彼の3年間の日常を思って。あと先輩はなんか良い顔。
女子側も理屈だけではない描かれ方をされてた。吹奏楽部部長は見ててたまらなくなった。部長のくせに淡い恋にうつつをぬかしてる。彼女自身が1番解ってるところが抱きしめたくなった。
調べたら前田の隣にいる武文役の人は実際に学生から映画撮ってて役者兼監督をしてるというリアリティ。そして野球部先輩並に良い顔。映画好きに向けての小ネタも多くて嬉しかった。
映画としての着地点は宏樹の涙と吹奏楽の演奏に委ねられたということでいいんだろうな。でもって、この作品はエンドロールで流れる高橋優「陽はまた昇る」でちゃんと完結してる気がする。