1983

ハニー ビター ハニー (集英社文庫)

ハニー ビター ハニー (集英社文庫)

加藤千恵が高校生のときから知っている。彼女と同い年だから、自分も当時高校生。知るキッカケはもう忘れてしまったけど、彼女の短歌が好きだった。キラキラ輝いていただろう学生時代をあらわす歌。恋愛に懸命な歌。とても羨ましかった。そんな青春を送っている彼女がではなく、同い年の人がそういう表現方法を手に入れ世間に発表していたことが。そのころ何かをしたかったくせに何もしなかった自分が羨ましがれる権利なんてどこにもないんだけど。
恋愛短編小説。誰もが知ってるような単純な単語が並び、単純な気持ちが並んでた。恋愛なんて単純だ。複雑にしているのは自分自身。3篇目のジェリービーンズみたいな男からの電話の奥で流れているNUMBER GIRL「透明少女」のくだりでにやけた。こういう些細な出来事でも思い出の曲となっていくんだろうな。
ずいぶん前に「あの人とずっと一緒に暮らしたい」という思考は恋愛ではないと悟ったので、どう方向転換をしていけばいいのか悩むばかり。きっとその悩みすらも打ち壊してくれる相手が地球のどこかから現れるはずだ。たぶん。きっと。