守り続ける日常。


六月下旬に渋谷で公開される『いつか読書する日』という映画の試写会に行った。
この作品は長崎を舞台にしていて、素晴らしい町並みが映画をとても盛り上げている。
なんか……全体としてなんと表現していいのか分からない作品だった。
地味ではあるんだけど、それだけでは片付けられない何かがあった。
色々な世代や境遇の「言葉」を観客の私たちが、
どれだけすくえるのかが問いかけられていたような気がする。
ナレーションが多用されていたのだが、説明しすぎているにはいるのだけど
説明が全くされていないような場面も多く、色々不思議が出てくる。
自分が大人になれば解けてくるもんなのでしょうか?


中年の不器用な恋が軸になっている作品なのだけど、前半2/3は言葉すら交わさない2人。
昔恋仲だった2人が50歳になっても思い続けている。
けして口には出してはいけない事情を抱えて。
この恋の行方は劇場で見てほしい。


文句をひとつだけ書かせてもらうと、音楽がウルサイ箇所がいくつか。
主人公が叫ぶところがあるんだけど、音楽によって自分の気持ちが逃げ出してしまった。
あれはもったいない。


一生懸命に守らないと日常なんてすぐ壊れる。
日常が退屈だというなら、一歩踏み出せばすぐ道から外れる事が出来る。
心の底の底ではこの道を外れたいと思いながらも守り続ける日常。
それがどれだけ大変な事か皆分かっているだろうか。
その思いがこの作品に出てくる人達の静かな強い決意となっている。